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関根 由莉奈
Cellulose Communications, 30(4), p.203 - 208, 2023/12
本稿では、水溶液の凍結中に起こる氷晶と溶質の相分離現象を利用した高い圧縮復元性、マクロ孔、無毒の性質を持つカルボキシメチルセルロースナノファイバー(CMCF)ハイドロゲルの作製と特性についての研究を紹介する。開発した凍結架橋CMCFゲルの特徴として、無害な原料から簡易に作成できること、高い成形性、生分解性が挙げられる。これらの性質を活かすことで、環境浄化剤や機能性材料等として、セルロース誘導体の用途拡大に寄与できると考えている。
廣木 章博
Cellulose Communications, 22(3), p.143 - 145, 2015/09
これまでに報告されているポリマーゲル線量計の多くは、母材とモノマーに再溶解しやすいゼラチンゲルと劇物のアクリルアミドをそれぞれ用いている。そこで著者らは、熱安定性がよく、かつ低毒性の素材から成るポリマーゲル線量計の研究開発に取り組み、放射線架橋ヒドロキシプロピルセルロースゲルとメタクリル酸エステルを用いたポリマーゲル線量計を提案・作製した。本稿では、作製したポリマーゲル線量計が放射線治療線量に相当する2Gy程度で白濁すること、その白濁度合いが線量の増加に伴い増加すること、さらにモノマー組成や脱酸素剤の濃度調節により放射線感度が制御できることなどを紹介した。
佐伯 誠一
Cellulose Communications, 16(2), p.58 - 61, 2009/00
セルロース及びその誘導体は放射線分解型高分子であると従来考えられてきたが、近年カルボキシメチルセルロース(CMC)などの誘導体は、高濃度水溶液条件下において放射線架橋し、ハイドロゲルを生成することが見いだされている。本解説では、CMC水溶液をモデル物質として、セルロース誘導体の放射線誘起反応機構解明に関するアプローチについて紹介している。水の放射線分解ラジカルであるOHラジカル収量のゲル分率に対する寄与から、OHラジカルがCMC水溶液の放射線架橋の起因であることを見いだし、OHラジカルとの反応により生成するCMCラジカルをESR法により直接観測することに成功した。得られたESRスペクトルからラジカルサイトをカルボキシメチル基炭素上であると同定した。